A ready-made demo tape

淡々とした日記

20190615

昨日、郵便局から夫宛に不在連絡票が届いていたので(おそらく次の家で使うインターネットのルーターボックス)、土曜日は午前中なら郵便局が開いているので眠そうにしている夫を連れて郵便局へ行く。夫は日中は仕事をしているので仕方ないが、だんだん私のほうが街中に詳しくなってきているので悔しそう。夫のパスポートを見せるように言われるので、やはり夫を連れて行って正解だった。預かり荷物、大きすぎて持って行った袋に入らず両手で運ぶ。

そのままスーパーに寄るが、土曜はみんな壮絶な量のまとめ買いをするので混んでいた。急に夫が腹痛を起こし、ほとんど何も買えないままスーパーを出て、生鮮食品以外のいろいろを売っている隣のショッピングセンターの、ここに絶対トイレがあるとわかっているポイントに駆け込む。夫と一緒にいるとよくあること。

用が済むと夫は急に元気になり、ニトリIKEAの中間みたいな家具屋をしばらくうろつく。日本なら100均で売っていそうな、スチールのどうってことないブックエンドが2,000円くらいしたのでびっくりした。当地の人びとはバルコニーにテーブルや椅子を置いたり、ガーランドで飾り付けるのに熱心で、そういうグッズ葉物すごく充実している。夫の希望で大きめのろうそくを買った。

帰宅してマルタイ棒ラーメンを茹でた。具はキャベツと冷凍のエビ。かさばらないので日本から持ってきた乾麺はこれ一択、折れないようにプチプチに包んで持ってきた。マルタイ棒ラーメンは馬鹿にできないおいしさ。勤め先の社食よりもはるかにおいしい。なお、スーパーでは「出前一丁」がばら売りされていて、ひとつ140円くらいする。

 

午後から夫はリビングで仕事をしていて、私は寝室でゴロゴロしていた、木曜から今日にかけて近所でビアフェスタが開かれているので、ビアフェスタには行こうねと言っていたが、全然仕事終わる気配ないなーと思っていたら夫が急に寝室に私を呼びに来たので何かと思ったら、リビングの窓から見える外の景色が一変していて、台風かと思うくらいの強風、雨が地面にほぼ並行に吹き付けていて、雷も鳴っている。風の音がすごい。玄関のドアがガタガタ音を立てていて、風が強すぎてどうかなっているのかと思ったら、雨が雹に変わっていて、風向きの問題で雹がドアにたたきつけるように降っていたのだった。しかもドアの下から水がしみだしてきている!日本の家と違って三和土がなくて、玄関入ると即フローリングの廊下、のようなつくりなので、いちばん古いバスタオルを持ってきてこれ以上雨が吹き込まないように応急処置。雷鳴にはびびっていたがだんだん笑えてきて、家にいて良かったねえ、ビアフェスタどうなっただろうねえと言い合う。

それでも2時間ほどすると雨風は止んで、夫も仕事よりも外の様子が気になってしまい、二人でビアフェスタ会場まで歩いていった。あちこちで街路樹の葉が散らばり、太い木が倒れて立ち入り禁止(こちらでは斜めの赤と白のしま模様)のテープが早速張られているところもあった。

風雨がマックスの時の様子はわからないが、ビアフェスタは拍子抜けするくらい普通にやっていた(同時開催の音楽イベントはもしかしたら中止になったかもしれない)。入場料(20CHF)を払うと、グラスとトークン数枚が渡され、各ブルワリーのブースでトークンと引き換えにビールが飲める。トークンは追加購入もできる。

日本というか東京だとこういうイベントは暑くて長蛇の列で行くだけで疲れると思うけど、本当に”適度な混み具合”で、大声を出してイキってる馬鹿とかもいないし、もちろんビールはうまいしで、こんな楽しいことがあってええのんか・・・と夫と半泣きでブースをうろうろした。

4杯飲んだが、いちばん最初に深く考えずに頼んだI'ApaiséeというマイクロブルワリーのIPA(la Boucane)が、えっ・・・と思うくらいおいしかった。

 

lapaisee.ch

燻したチーズのような香りがして、手書きの説明をその場で調べてみると「ブナと泥炭でスモークしたIPA」のような意味だった。自力で行けそうなところに6月下旬から試飲や購入ができるスペースが設けられるようなので、これは行くしかない・・・

このイベントは、今週の火曜日に収穫の少なかった激安スーパーからとぼとぼ歩いて帰ってくるときに、横断幕が張られているのを見て知って、フーン・・・くらいにしか思っていなかったが、地元の人が主な客と思われるようなイベントを存分に楽しめて、なんか住んでるなあここに!という実感がわいて夫も私もとても嬉しかった。

20190614

目覚めてすぐに大谷のサイクルヒットを知った。

先週の金曜日に申請したビザ、もう承認されたらしいことを夫からのメールで知る。申請→承認までの所要時間、夫よりも遙かに早い。

夫は仕事が忙しく(東京の時以上に働いているのではないか)全然帰ってこないので晩御飯も一人で先に食べる。鶏肉とローズマリーとじゃがいものロースト、チコリとマッシュルームとくるみのサラダ。自分はそれでおなかがいっぱいになってしまったけど、夫が食べるかなと思ってにんじんのラペも作った。にんじんは千切りにされたのがパックにどさっと入って売られているので便利。サラダ用に、様々なカット野菜がパックに入って売られているが、夫曰く葉物野菜がカットされたものは賞味期限通りに腐るらしい。にんじんの千切りは日持ちするとのこと。

夫は日付が変わる直前にようやく帰ってきて、私が作ったものをがつがつ食べたうえにカップラーメンに卵を落としてすすっていた。

 

今はKindleで『ギケイキ2』を読んでいる。口汚く罵り合う場面など、つい声に出して読んでしまう。不自然にならずに、一息で読めるようにちゃんと言葉が選ばれているので、絶対著者も声に出して原稿を確認しているのはないかと思ってしまう。そして、声に出して読み上げておかしなところのない文章は、当然黙読でもすっと自分の中に吸い込まれてくるようだ。理解度が違う。これはフィクションであるかどうかを問わずそう思う。

もともと自分が関西出身なので、素朴な所感を書くときは関西弁を強めに書くほうが自分の気持ちが伝わる感じがして、好んでそうすることが多いが、直近で読んでいるものに文体が引きずられがちになり、深く考えずにタイプしていると『ギケイキ』風になりそうでそれはちょっと恥ずかしい。

同世代でも、古くは椎名林檎やくしまるえつこの歌詞、最近だと川上未映子や植本一子の文章に影響受けすぎな感じのものを見かける。あと、こういう文章を書きたいと思って素人がまねをして痛い目に遭いそうやなと思うのは岸政彦。

 

 

20190613

今日も好天でそれだけで浮ついた気持ちになってしまいそうだったが、夕方に予定があったので昼間にあてもなく外をうろつくのはやめて、家で勉強したり、買い物も近所に最低限のものを買いに行くだけにとどめた。午前中に10分でも勉強したという実績ができると嬉しい。

もう少し日々のルーティンを決めるほうが良いのだろうか。睡眠時間は、できるだけ毎日同じ時間に起きて寝るようにしているが、それ以外(料理、化粧その他)は、何時までにここまで到達する、というのが曖昧だ。平日の夕食の用意は、夫の帰宅時間におおよそのおかずができあがっているように、という「お尻」は決まっているけれど、何時間で何品用意する、というのはあまり意識していない。何に関しても、○○時までに○○をやる、というのを決めて動くようにしないと言うか、任意の何かを達成するための所要時間を、事前に、自分である程度正確に算出して、その通りに行動できる習慣を維持できなければ、自分が本当にポンコツになってしまいそうで怖い。

夕方、来月から当地に引っ越してくる同僚が出張がてら家に寄ってくれた。もともと来るといっていた時間帯よりも1時間以上遅かったので、気を揉みながら料理をしたり、目につきそうなところを片付けたり掃除したりしていて、人を家に呼ぶの、軽い気持ちで言いだすと後でだんだんいやになってくるななどと思っていたが、いったん来てくれるとそういう気持ちは文字通り吹っ飛んだ、夫以外の人と日本語で話せるのが嬉しくて仕方がない、同僚も外食よりも気が張らなくてありがたいと喜んでくれた。

酢豚、えびの生春巻き、クスクスのサラダ、カプレーゼ、食後にピスタチオのアイスクリーム。

 

20190612

久々に朝から晴れて嬉しい。外に出ずにはいられない。

スーパーでBGMがかかっていないというのは間違いだった。でも音量は控えめで、多分スーパーのテーマソングとかでもない。

黒酢の酢豚を作ろうと思い立つ。

近所のスーパー①の酒売り場、エノテカ位の規模があるが売り場の7割がワインで、紹興酒はさすがにそこには売っておらず、中華食材店を目指してトラムに乗った。

「○○(任意の地名) 中華食材店」などのワードで検索すると何の足しにもならん糞みたいなブログばかり表示されるの勘弁してほしい。当人は情報提供のつもりでアップしているのだろうが、店名やロケーションもまともに書かれていないものが少なからずある。

商品のパッケージやふたにマジックで直接値段が書いてある明朗会計。紹興酒は1本だけあり、日本の価格帯の倍はしたけど買った。生春巻きの皮もあったので買った。ついでに板春雨もあるのではと期待したけれどこれは見つからなかった。あと、棚の上のほうにビニール袋に入った蒸籠が売られていた。こういうところで買えるんだったらあんなに無理して持ってこなくて良かったなと思った。

店には韓国(辛ラーメンとか)やインド(スパイス類)、タイ、ベトナムあたりの製品もあった。店員は中国系の人ではないかと思われた。英語もフランス語も堪能だった。先週昼食に入った中華料理店の店員も、英語とフランス語のどちらもよどみなく話しており感心した。

紹興酒を手にぶら下げながら、あまりに良い天気なので川沿いをぶらぶら歩いた。本を読もうかと思ったけど、そこらへんで腰を下ろしているのは、日焼け目的で独りで座って読書している感じの人か、いちゃついているカップルだけでなんか浮ついた感じの奴らに混ざるのは気が引けたので、そのまましばらく歩き続けた。

勤め人っぽい装いだが、「ほんまはなんかちょっと腰を下ろしてゆっくり景色を楽しみたいんやけど、浮かれてるみたいでちょっと自分が恥ずかしわ、でもなあ、いい景色よなあ」みたいなことを思ってそうな、わりとゆっくりあるいているサングラスの女性がいて、その人は最終的に川の欄干にちょっともたれてたたずんで、ハーやっぱこの町好きみたいな雰囲気を出していた。もちろん全部自分の想像で実際はなんかいやなことがあってオフィスや家に帰りたくなかったのかもしれないけど、ちょっとその人の心境を考えるのは面白かった。

 

酢豚のレシピ。ロースではなくバラで作った。こちらで売られているバラ肉、ミミガーっぽい食感の、日本で売られている肉だと多分そぎ落とされている皮っぽいところが残っていて私は嫌いではない。たまに細い骨もくっついているが。

recipe.kirin.co.jp

あと、キャベツのアチャールも作った。マスタードシードが、スパイス売り場でなかなか見つからず、今日スーパー①のスパイス売り場をもう一度なめるように見たところ、graine de moutardeの文字列が目に飛び込んできた。夫も喜んで食べてくれた。

www.elle.com

そのほか、きゅうりとトマトのサラダ、昨日の残りのポテトサラダ。先週末以来の、料理しんどくなった感じは少し改善したと思う。

 

20190611

三連休終了、月曜日のような気分だが火曜日。雨はまだ降り続いていて寒い。手持ちの長袖が1枚しかないので、今日も夫のユニクロの薄いダウンを着る。

ポストには時々普段行きつけのスーパー①②以外のちらし(冊子形式になっており、ひとつひとつの商品画像が大きいので情報量はそれほどない)が投函されていて、たまたまそれをめくっていたら、プロセッコや挽肉がめちゃくちゃ安いスーパーが徒歩20分くらいのところにあったので(特売のプロセッコ、フルサイズボトルが700円くらい)、雨の中歩いて行った。日曜の晩に散歩した道をまた歩いた、川は一層増水してごうごうと流れていた、岸に生えている木が若干水没していた。

店は狭くて買い物はしづらかった。食品以外に靴下なども売られていたが、ぞんざいな陳列であまり長居したくなる雰囲気ではなかった。プロセッコと、ソーセージとマッシュルームだけ買ってちょっとしょんぼりして帰る。レジは混んでおり、私のちょっぴりの買い物を見た、夫婦(カートに山盛の商品)が「先に会計したら?」という感じのことを何度も言ってくれて、全然気にしてないのでいいですと言ったけどそれは嬉しかった。

メインのおかずがどうしても思いつかなくて、スーパー②でピザを買う。ついでに、あと少しで引っ越すとわかっていても、仮住まい感をもう少し改善したいと思って、今まで足を踏み入れたことのなかったスーパー②の2階に足を踏み入れ、収納用品をいくつか買う。日本なら100均で買えそうなものが2~10倍くらいした。近々に来客がある予定だが、箸が自分たち夫婦分しかないので割り箸があったらいいな~と思っていたらあったので笑ってしまった、箸袋には丁寧に「竹の香り」と印刷されている。ヨーロッパの片隅でも売られている割り箸。

スーパー②の2階は日用品・衣料・本なども売られていて、先月まで住んでいたところの、最寄りのライフの3階によく似ていた。当地のスーパーのいいところはBGMがないところ。たまに従業員の呼び出しっぽいのが流れたりするけど、とても静か。

帰宅して書類や化粧品を整理し、段ボールの積み方を変えたり、いくつか箱を潰したりしたらだいぶ見栄えがよくなった。

ピザを焼くのに初めて備え付けのオーブンを使った。あったまるのがすごく早い。ピザの他に、アボカド半玉、チコリとくるみとマッシュルームのサラダ、味噌とゆず胡椒を入れて作るポテトサラダ、蒸したアスパラガス(七味とマヨネーズで食べる)。野菜中心で夫が物足りなそうにするかと思ったらそうでもなかったのでよかった。後でよく聞くと昼にまたラムのローストを食べたらしい。

チコリのサラダは、参考にしたレシピ通りだとカッテージチーズを入れるのだがそれを忘れていて、すると夫が「ここにチーズなんか入ってるといいよね」と言い出してぎょっとした。元のレシピを知っていたとは思えない。何となくの思いつきで食材の組み合わせの妙に至るの、私には絶対できない。

 

20190610

祝日。昨日に引き続いて雨天でひえびえとしており、終日外出しなかった。活動量計に示される歩数がむなしかった。

ずっと家にいると、食べることが唯一の娯楽になってしまい、口が卑しい。朝食は夫がマッシュルーム入りのオムレツを焼いた。乾燥ポルチーニ茸も戻して入れたのだという。卵液をうまく広げて丸めるのを横でぼーっと見て、何でも器用にやるなと感心する。

昼はそばを茹でた。夫は私よりも2ヶ月先に出国したが、乾麺のそばを買ってきてくれと言われたので、何袋か買って荷物に入れ、しかし乾麺なんかおいしいやろかといぶかしんでいたが、ゆで時間をパッケージの指示よりも30秒短くしたら思ったよりずっとおいしくできた。寒い日だったが、温そばは絶対にのびておいしくなくなる気がしたので、素麺みたいに氷漬けにしたら、何というかピチピチしたまま最後までおいしく食べられた。葉つきたまねぎの青いところを刻んでそばに載せたら、薬味を添えたさわやかな見た目にはなったが、あんまり味はしなかったので、これは本当の飾り。夫が作ったかき揚げ(桜えび、ごぼう、アスパラガス)もおいしかった。

午後からは夫は家で仕事すると言うので、晩は私が全部作った。回鍋肉、ザーサイ入りスープ、切り干し大根ときゅうりの酢の物。私がやるとどうしても給食・定食みたいになるのは何故。ピーマンは見た目は立派で切っても肉厚だったが、これもあまり苦みが感じられず、回鍋肉らしさが今ひとつ出ない。すごい量になり、大皿に盛ってしまったのも昔の自分のバイト先のまかないみたいで(厨房・ホール併せて、スタッフが少ないときでも10人、多いときは20人くらいの店で働いていた)食べていて悲しくなってきた。夫はおいしいおいしい言っていたけれど、なんかそれも白々しかった。

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匂いに自分は疎い方だと思うけど、白いTシャツの襟ぐりの汚れをこすり洗いしようと思って、日本から持ってきた使いさしのウタマロ石鹸を出してきたら、ウタマロ石鹸絶対こんな匂いせんやろみたいなエグい匂いがして、それは自分がそのウタマロ石鹸を、たまたま別の石鹸の包み紙で包んで保管したのが悪いのだが、そのエグい匂いがどう考えてもまずいラーメン屋のとんこつスープの香りで、匂いにうるさい夫に「恥を忍んで尋ねるが、この石鹸とんこつスープの香りがしませんか」ときいてみたところ、確かにとんこつスープの匂い、というか、よく石鹸に関して「とんこつスープ」という例えを思いついたなと笑われた。昔、勤め先で香料関連の仕事をしていた人が、花やフルーツを連想させる良い香りの構成とドブなどのいやな臭いの要素の構成は実は結構似ていて、配分次第でがらっと印象が変わるのだという話をしていたのを思い出した。

別の石鹸の包み紙はとうに捨てたので、しばらく使っていればとんこつ臭は抜けるだろうか・・・

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先週水曜に投函した祖母への手紙が届いたようで、母が撮影したらしいビデオメッセージがLINEで送られてきた。手紙を握りしめた祖母が一生懸命話している。母が時々小声で「おげんきで、っていうの」とかアドバイスしているのも録音されている。何回も見たら泣きそうになるのでとりあえず保存。

 

20190609

到着してから一週間経って、だんだんと「外国に来た高揚感」が薄れはじめ、思っていたような生活ができている点とそうでない点が意識されてきた。

 

予報通り朝からひんやりしておりしびしびと雨が降っていた。

今日は夫に料理してもらうことが多かった。昼は辛い麻婆豆腐、夜はラムのロースト。

ラムのローストにどうしても香菜を載せたくて、日曜日も開いているスーパーを探して、トラムに乗って買いに行った。出かける前、インナーダウンになるくらいの薄いダウンを羽織ろうとすると、夫に「さすがにそれはやりすぎでは」と言われたので止したが、街中に出てみると薄いダウンを羽織っている人が何人もいた。皆あまり”衣替え”をせずにどんな気候でもしのげるようなクローゼット体制をとっているのだと思う。あと子供はキックボードに乗ったままスーパーに入ってくるのでびっくりする(自転車ごとトラムに乗ってくるのにはもう驚かなくなった)。

冷蔵庫の庫内温度の設定を低くしすぎていたらしく、アスパラガスやきゅうりやバジルが凍ってしまっていた。バジルは水につけたらどうにかなるかと思ったが、ゆるいわかめみたいになってしまってどうしようもなかった。何もうまくいかないなどとぐずぐず言っていると夫がいやそうな顔をしていた。

夫の料理と自分の料理と、何が違うのか。人につくってもらっているからおいしく(嬉しく)感じやすい、というのもあるだろうけど、夫の料理はなんというか派手だ。盛り付けにもすごく凝っているし、はっとするような味わいだ。鼻がよく、香り付けとかにもうるさい(私は、レシピ通りに「仕上げに香り付けのためにごま油を回しかける」けれど、それが香り付けになっているのか正直ピンときていない)。

他方、自分の料理は日々生活していくための食事という感じが否めない。品数はある程度そろえたいと思うけれど、見た目はすごく地味。生活は料理と食事だけではなくて、他のこともしないといけないし、毎日毎食ゴリゴリにこだわっている時間の余裕はない。でも、夫の料理の、ワー楽しい!おいしい!みたいな感覚を自分の料理からも発せられないものか。

ラムのローストはおいしかった、昨日のレストランのお肉よりおいしかったかもしれない。

20時を過ぎてから雨が止んだので、ベランダにワインを持ち出して飲み、それでも足りなくて、缶ビールを持って散歩に行き、増水した川のそばを歩いた。川から靄が立っていた。日没前後の時間帯というのも相まって、日本だったら明け方午前5時くらいのような眺めだったが、21時だというのが信じがたかった。